お尻の下から去っていったサドルたちを眺め、 思えばずいぶん深くまでハマったものだ 感慨にふけりながら、 今日もまた、 購入ボタンを押す。
そんな毎日も、あるサドルと出会ってからは、一旦は落ち着きを取り戻しています。
サドル沼とは
ロードバイクと体の接点は、手、足そしてお尻です。その中でも、最も乗り手に影響を与え続けているのは、お尻を支えるサドルであることは異論がないと思います。
自分に合ったサドルを見つけるのは、科学がこれだけ発達した現在でも、容易ではありません。お尻(またはその周辺部)への負担のかかり具合は、性別の違いだけではなく、骨格、体重、乗り方など様々な要素が絡み合っているからでしょう。
インターネットを徘徊したり、仲間の意見を参考にして、今より痛みが出ないサドルを求めさまようこと、これは一般に「サドル沼」と呼ばれています。
この沼にはまると容易に抜け出すことはできません。
なぜなら、サドルは星の数ほど存在するからです。一時的に解決されたとしても、「まるでサドルが消えているようだ!」的なうたい文句を見てしまうと、再び沼に連れ戻されてしまいます。
私がハマった沼に落ちていたサドルたち
Prologo kappa evo | クッション高めのコンフォート系。穴は開いていない。 |
Selle SMP hell | 知名度抜群。独特な形状。合う人には合う。 |
San Marco concor | 世界2大サドルブランドの1つ。歴代のロードレーサー達が使用。 |
Specialized power |
ショートサドルの開拓者。信者多数。 |
一瞬でいなくなったサドルもあるので、もう少しありますが、名前を思い出せないので省略しています。それでも、大沼にはまった人に比べれば、甘っちょろいものだと思います。
どれも、評判のいいサドルたちです。ただ単に私には合わなかったということだけであり、それほどまでにサドル選びは難しいのです。
Powerサドルに関しては、かなり惜しいところまで来ていました。股間の痛みは問題なかったのですが、坐骨がどうしても痛くなってしまいました。ショートサドル特有のペダリングのしやすさが非常に気に入っていたのですが、泣く泣くサヨナラしました。
サドルの選び方
穴の有無
股間が痺れる場合は、穴あき一択です。
体重の分散具合が変わってくるので、気にならなければ穴がない方がいいでしょう。
座面幅
骨盤の大きさによって、適切な座面幅が変わります。
140mm~160mmが一般的のようです。
長さ
サドル自体の長さです。前乗りしてトルクをかける傾向の人はショートノーズ、
前後移動を頻繁にする人はロングノーズ
クッション性
クッション性はパッドの厚みと関係しています。
高ケイデンスで回す人は、薄めのパッド
トルクをかけて回す人、座骨の痛みが気になる人は、厚めのパッド
レール素材
カーボン素材か金属素材(アルミ・クロモリ等)の違いで、主に重量に差が出てきます。
サドル選びのポイント
人によって何を重視するかは全く異なります。
私の例では、まず股間の痺れが悩みの中心でしたので、穴あきであることが絶対条件でした。そして、次が座骨の痛みですが、これは乗り込んでいけば慣れるという側面もあります。というのは、そもそもポジションが確立していない状態でサドルを変えても、その都度痛みが変わるだけで意味がないからです。まずはポジションを固めて、それでもなお痛みがあればそれに対応するサドルを導入するのが最も理想的だと思います。
しかし、そうはいっても、痛いと乗ることができません。
初めのうちは、「穴の有無」「クッション性」を重視して、自分に合うサドルを選ぶのが効率的だと思います。
フィジークARGOと出会う
ARGOは流行りのショートノーズです。
種類は2つあり、レース志向が「VENTO」で、ファンライド志向が「TEMPO」となっています。
モデル | 幅 | クッション性 | レール | |
VENTO | R1 | 140/150mm | 普通 | カーボンブレイテッド |
R3 | K:iumレール | |||
R5 | S-Alloyレール | |||
TEMPO | R1 | 150/160mm | 高め | カーボンブレイテッド |
R3 | K:iumレール | |||
R5 | S-Alloyレール |
いずれもレール素材の違いによって、モデルが3つあります。
まずは自身の志向からクッション性の違いを選択して、いずれかに絞り込み、そこからレール素材の違いを選択するのがいいでしょう。
私は、沼にはまっている最中でしたので最も安価なARGO TEMPO R5を購入しました。
ショートノーズによるペダリングのしやすさをあきらめず、パワーサドルでは解決できなかった座骨の痛みが軽減でき、私のサドル沼は浅くなった気がします。
(抜け出したとは言っていない)
多くのモデルは1万円台で購入することができますので、パワーサドルにどうしても合わない人は試してみる価値があります。